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満期除隊

満期除隊 (昭和七年十一月三十日)

 昭和七年十一月三十日が満期除隊である。

 除隊まであと百日になった。飯を一日三食三百杯、大根漬物一食二切ニセンチ、一日六センチ、十日で六十センテ、百日でコウコゥ六米食えぱ除隊だ。などと指折算値するのが兵隊の楽しみであった。

見渡す限り白妙の 氷冷たき漢江河
野山は枯れて村々の ポプラの梢に嵐吹く
時しも霜月二十九日 待ちに待ちたる除隊式
聯隊長の訓示あり 軍旗に最後の捧げ銃
三輪の里にと来て見れば 涙流して恋人が
海山遠く北鮮に 貴男を慕うアカシヤの
花のあること忘れずに お忘わ給うな何時までも
目にはかすかに玉の露 かくて別れし恋乙女
汽笛一声漢江河 心は残る三輪の里

三輪の里

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