兵営生活数え歌 (歌詞)
一つとせ 人のいやがる軍隊に 志願で出て来る馬鹿もおる
再役するよな馬鹿もおる スイスイ
ニつとせ ふた親見すてて出たからにや この身は国家に
捧げ銃 及ばずながらもつとめます スイスイ
三つとせ 皆さん御承知の軍隊は 酒と女が禁物で
軍紀風紀を守る為 スイスイ
四つとせ 夜は衛兵寝ずの番 明くれば一日捧げ銃
帰れば忽ち不寝番 スイスイ
五つとせ 何時かわからぬ不時点呼 ねむたいさかりを
起されて 人員検べて報告す スイスイ
六つとせ 無理なことを上官は 命令なんぞと名をつけて
服従せよとは生意気な スイスイ
七つとせ 七日七日の土曜日は 清潔整頓武器手入
検査検査で苦労する スイスイ
八つとせ やがて営門出る時にや 遊び過した五分間
帰ればたちまち重営倉 スイスイ
九つとせ ここの規則はよく出来た 寝るも起きるも皆ラッパ
衛兵 会報 食事まで スイスイ
十つとせ 十日十日の俸給も 僅か一円八十銭
あんぱん代にも足りはせぬ スイスイ
十一とせ 一番偉いのが聯隊長 往きも帰りも馬の上
衛兵整列頭ら右 スイスイ
十二とせ 二番によいのが将校さん 行きも帰りも捧げ銃
帰れば奥さん持ちやげつつ スイスイ
十三とせ さてもつまらぬ吾々は たまの外出割当てで
可愛初年兵は泣くばかり スイスイ
十四とせ 士官下士官准士官 中で張り切る班長さん
たかが軍曹でありながら スイスイ
十五とせ 伍長勤務は生意気で いきな上等兵にや金がない
可愛新兵さんにや暇がない スイスイ
十六とせ 六十余州のその中で 選び出された吾々を
ピンタとるとは何事ぞ スイスイ
十七とせ ひやかし上手な班長さん それを見習う上等兵
女泣かせの二つ星 スイスイ
十八とせ ようよう満期もあと三日 おやじ喜べ嫁さがせ
帰ればこうして ああもして スイスイ
十九とせ 苦労しました二年間 明くれば喜しや除隊式
軍旗に最後の 捧げ銃 スイスイ
二十とせ とうとう出ました営門を 愛し戦友さらさらば
心は残る七九の兵舎 スイスイ
この歌の一つ一つが自分の通って来たみち、
思えば涙、懐しい限りである。