連続終夜演習
十分間休憩
松汀里から井邑を経て裡里まで三日間は連続終夜演習であった。
二日も寝ないで行軍すると歩きながら眠る。前が停るとガチ、ガチ、ガチっと将棋倒しに前の人の飯盒をかじって怒られる。
十分間休憩と言われると、道踏わきに処かまわず、ひっくり返って寝た。もっとも機関銃や砲兵、輜重兵はその間に馬に水をやらねばならず、休憩というものはなかった。
夜は絶対に前の人から離れてはならぬと言われても、何時の間にか前の兵隊がいなくなって、あわてて、そこらの部隊の後についてゆく、夜が明けて見ると、他な部隊の後について行軍していた笑話もある。