なまこ山、無名祠の高地、バラバラ松の高地
幾百の兵隊が雨の日も風の日も、突撃の喊声をあげて赤土の山を馳け上がる、「今のは不成功」と叱られて又麓に下り眼をつりあげ、血の出る程の断末魔の声をあげて馳せ上る、「よし成功」とお告げがあってほっとする。
突撃の声ふりしぼり馳せのぼる
兵倒れたり 酷暑の丘に
私も一星半をこの練兵場で練えに練えられた。そして色々なことを体験した。
苦しい思いを慰めてくれるものは小さな野生のカーネイシヨンと白い野菊であった。ある時は苦痛の絶頂に、ある時は限りない悲哀に涙をこぼした。
かくて胸深く彫まれたことは「祖国日本を愛する兵の涙ぐましい努力と、自己を愛しむ悲しい笑い」であった。