はしがき (青木国良)
軍国の時代に生れ召されては
献げし青春吾に悔なし
戦前は国民皆兵であった。特に軍国時代と言われた昭和初期、満州事変、支那事変、大東亜戦争の頃の人は大抵兵隊の体験をもっている。
明治時代から教育、納税、兵役は国民の三大義務といわれ、兵隊にいくことはいとも当然のことで、むしろ兵隊に往けない男子は肩身の狭い思をしていた。
又一面一つの国民教育であって、あの不破者が、あの横着者が兵隊にいって見違えるように立派になって帰ってきた。私の児もぜひ兵隊にやりたいというのが大方の親達の願いであった。
当の本人は壮行会をしてもらい。村じゆうの人に村はずれまで送ってもらい、栄誉を一身に担い、勇躍して出ていった。
兵隊はお国のための奉公とあって至って呑気、命ぜられるままに動いた、辛いこともあった、悲しいこともあった、しかし今にして思えぱ、どれもこれも懐かしい思い出である。